「私達が繰り返し未来を見誤るのは、その思考法のせいである。」
「未来に先回りする思考法 著者:佐藤航陽」
本書の最終的な目標は、読者が社会全体のメカニズムとその大枠の流れを掴み、利益を得られるような意思決定の方法を学ぶことにあります。
社会の変化として実際に起っている事例を1つだけ紹介し、早速思考法について紹介しようと思います。
未来へ先回りし、有益な意思決定を行うために、これから私達がどういう考えかたをすべきか、本書の中から3つの思考法を厳選し紹介します。
スマートフォンが「権威」を弱める (社会変化の具体例)
非常に簡単にではありますが、社会の変化の例をあげます。
今の時代に当然とされていることが、人類にとって普遍ではないという感覚だけでも掴んでもらいたいです。
社会の変化の具体例として、過去から現在に至るまで、どんな「線」に沿って社会で進化してきたのかを、ネットワークのあり方から整理します。ハブ型の近代社会から、分散型の現代社会にむけて、「テクノロジー」が一役買っている点に注目です。
世界の社会構造の変化に注目すると、
血縁が絶対的であった封建社会から、身分が平等な民主主義なハブ型社会へと変化し、そして誰もがネットを利用できる分散型社会が訪れようとしています。
それぞれの社会の特徴を見ていきましょう。
- 血縁型の封建社会
・王族貴族といった特権階級が存在し、その下に市民・平民・奴隷といった身分
・職業や結婚相手も身分により決定され、選択の自由はない。
・生まれた家庭により身分が決まる、「血」がシステムの根幹となる社会
・民主主義、資本主義により、システム崩壊 - ハブ型近代社会
・現在社会で当然とされている価値観
・教育、銀行、警察、国会などはこの時代に作られた
・誰もが同じ情報を容易に共有できないため「ハブ」に情報を集め拡散。(情報の非対称性)
・「ハブ」となる存在が大きな権力を握る
ex. 中央銀行、国会、学校、企業 - 分散型の現代社会
・インターネット、スマートフォンの普及により情報の非対称性が崩れつつある
・ネットで情報が拡散されるため、ごまかしが効かない
・「価値」がシステムの根幹となる
・それにより「ハブ」の必要性が薄まり、「ハブ」の権威が弱まる。
ex. メルカリでは、個人が店舗を介さず商品の売買を行う。
1から2への変化は理解しやすいかと思いますが、2から3の変化はどうでしょうか。いずれにせよ、こうした変化の立役者となった企業や、変化に即座に対応した個人は莫大な利益を得ています。
こうした社会の変化において、大きな利益を得る人はどのような思考法をしているのでしょうか。
そして、これからの社会で私達が「得」するためには、どんな思考をすればよいのか、端的に紹介ます。
本書のポイント
- 点ではなく線で考える
- 世の中の変化パターンを掴む
- 「必要性」と「テクノロジー」が、社会の常識を変化させる
- 原理を考える
未来に先回りする思考3選
本書で多数紹介されている思考法の中から、私が衝撃を受けた思考法を紹介します。ちょっとした意識の変化で、明日からの行動が変わり、世界の見え方を変えるエッセンスになっています。
結論
本書を読んで、誰もが取り組むべきだと思ったことを紹介します。
先に結論を述べると、以下の3点になります。
- 今やっていることの効率化より、その行為に自分の時間を投資すべきか冷静に判断する
- パターンがつかめるまで、失敗を積み重ねる
- 想像できることは、実現可能と考える
詳しくは以下で説明します
報われない努力 〜効率化に潜む罠〜
原理を考えることの重要性についてです。
業務プロセスの「効率化」は近年多くの会社で謳われており、利益を挙げるためには重要な要素ですが、むやみに効率化を追求すると、とんでもない落とし穴にハマる可能性があります。
本書では、本当に成果を上げたいのなら、真っ先に考えるのは、自分が進んでいる道は「そもそも本当に進むべき道なのか」と推奨されています。
それはなぜかというと、時代の急速な変化によって、かつて自分が選んだ道が最適解ではなくなることが度々起こるからです。現状をひたすら効率化させようとする考え方は一種の思考停止の状態だと書かれています。
世の中の流れを掴み、今どの場所にいるのが最も有利なのかを適切に察知する能力が大切です。
少し先の未来で、利益を獲得するために、その行為に自分の時間を投資できるのかを冷静に考えてみましょう。
以下の3つを意識しておきましょう。
- 原理から考える
- テクノロジーを使ってできることを考える
- タイミングを考え、準備する
パターンがつかめるまで意図的に失敗を重ねる
未来へ先回りする思考の重要のポイントとして、「パターンを掴む」ことがあります。
本書では、パターンをつかめない理由として、このように述べられています。
物事がうまくいかない場合、パターンを認識するために必要な試行回数が足りていない場合がほとんどです。サンプルが必要だと頭ではわかりながらも、感情的な理由から十分な数が集まる前にあきらめてしまう。目標の達成を阻んでいるのは、実は人間の感情というフィルタだったりします。
それだけパターンを掴むことは難しく、多くの人が途中で諦めてしまうことのようです。
パターンをつかめるようになるまでには、時間と労力がかかるけれど、一回一回の成否に一喜一憂せずに、パターンと確率が認識できるまで、「実験」として量をこなすことが推奨されています。
成長していく自分をもとに考える
本当にできないこととは、その人が想像もできないこと。
なにか挑戦しようと思っているが、不安だという人へのポジティブな情報を持って最後にしようと思います。
「案ずるより産むが易し」という言葉は、「できないと思っていてもやってみたら案外なんとかなる。」ということですが、どうして人は「案じて」しまうのでしょうか。
それは、時間の経過とともに自分の能力が上がることを判断材料にしていないためだと筆者は言います。時間の経過とともに、自分がアップデートされると仮定して、できなさそうに思うことにも挑戦してみましょう。
できるかできないか悩むようなことは、「できることの射程圏内」に入っていると考えたほうがよいと主張されています。
逆に、自分でもできそうだと思えることをし続けることは、機会損失になる可能性すらあります。なぜなら、もっと高い目標を立てていれば、もっと先までいけたからです。
この話を深堀りすると、自分の認識を必ずしも信用すべきではないということに繋がります。著者は、グローバルにビジネスを展開する実業家でもありますが、事業開始当時を振り返り、このように語っています。
それでもなぜ一歩踏み出せたかというと、自分の認識を信用していなかったからです。今の自分の狭い視野によってつくられた認識のほうが「間違っている」と考えていましたし、今だってそう思っています。
自分の認識があっている場合もありますが、行動を起こすタイミングと、結果の出るタイミングが離れるほど、自分の認識があてにならなくなるという認識を持ちましょう。
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