本書は、「人は話し方が9割」の永松茂久の作品で、著者自身の経験を元に読者に大切なことを伝えてくれる本になっています。その中でも特に、母親との会話やエピソードがふんだんに盛り込まれているのが特徴です。
感動のストーリーであるだけでなく、作中の母親の言葉からは、多くの学び得られる実用的な本です。
自分がどうなりたいか分からない人へ
本書のテーマはタイトルから察せられる通り、「他者貢献」の素晴らしさです。
小学生の将来の夢、進学先の選択、就職活動など、「自分がどうなりたいか」を考えなくてはいけない場面は人生のターニングポイントとして度々訪れることになっています。
しかし、自分はこうなりたい!とはっきり言い切れる人はそう多くはありません。
私自身もその一人です。自分がどうなれば充実した生活ができるかを知りたい。そういう人にこそ読んでもらいたい本になっています。
「喜ばれる人になりなさい」の一言から想像がつくように、この本は自分中心ではなく他人中心の考え方を学ぶことができます。「自分がどうなりたいか」という問いを与えられると視野が狭くなり、自分のことばかりを考えて、結局よくわからなくなってしまうのですが、「他者に何をしてあげられるか」という視点を持つと視界が広がります。
他人より自分の幸せ
近年は、他人に貢献するよりもまず自分を幸せにしたいという考え方になんの疑問も持たない人も多いかと思います。しかし、この考えには落とし穴があり、自分の幸せのために他者を排除するという姿勢は幸せを遠ざけかねない行為です。
孤独でいることは一日に10本以上タバコを吸うより体に悪いという意見もあります。
「他人中心」で幸せになれるのかという疑問が浮かぶかも知れませんが、これに関しては、むしろ他者への貢献感は幸せを感じる最大の要因であると考えることができます。アドラー心理学で有名な「嫌われる勇気」の中でも、幸福追求の最終地点は「他者貢献」と述べられています。
ですので、自分の生活に満足感や幸福感を足し算したいという人にとっても、「喜ばれるひとになりなさい」を実践する意義は大きいと考えられます。
今日からできること3選
この記事では本書を通して学んだことをすっ飛ばして、まずは今日からできる行動を3つ紹介します。その後に、なぜその行動が有効なのか、どんな人に効果があると考えられるかを説明し、いきなり3つもできないよという人のために、その中でも最も優先してやってほしいことを一つ厳選します。
1.応援する相手を決める
自分の人生において、短期的でも長期的でも良いので、「応援する人」を決めてみましょう。対象となるひとは、家族、恋人、友人など人それぞれで構いません。よく見かける常連さんなど、自分から少し離れた人でもいいと思います。「会話しようと思えば会話ができる」距離感の人から選んでみてください。
具体的に応援する人を決めることができれば、
「自分がやりたいこと」から「あの人に何をしてあげられるか」のようにマインドが切り替わり、他者貢献のアクションが発生しやすくなります。
本の中に「応援している人を応援したくなる」といった描写があり、非常に納得できたのでポイントの1つ目として上げました。
他者貢献の気持ちづくりのきっかけとして、応援する相手を身近なひとの中から決めてみましょう。
2.他人の心配をやめて信頼する
心配してると口にしたとき、心配していると感じたときに、
「心配ではなく信頼しよう」と唱えてみてください。
「あなたのことが心配だ」とよく言う人と「あなたのことを信頼している」とよく言う人が居たとします。あなたはどちらの話に注意深く耳を傾けたり、その人のためにも頑張ろうと力が湧いてくるでしょうか。
心配する気持ちは一見すると相手を思いやることのように思われますが、相手を信頼していないことの現れだとも言えます。
心配と信頼は似たようなものだと思われるかも知れませんが、その受け取り手からすれば真逆の扱いを受けていると感じる可能性があります。
以下の引用は、著者の母親が、子育てで悩むお母さんの相談を受けたときの回答です。
「えっとね、1つめは子どもに対する心配をする時間があるなら、それを自分の好きなことをやる時間に変えること。その姿を子どもに見せれば、子どもは将来そうやって楽しく生きることができる人間になるって信じてるから」 僕も思わずメモをした。そのノートは今でも手元に残っている。 「2つめは子どもがどんな状態であっても、お母さん自身が自分の機嫌は自分で取りながら明るく生きること」 たしかにあなたはいつも明るいです。そんな誓いを持ってたんですね。「そして3つめが何があっても子どもの味方でい続けること。何があっても子どもの未来を信じること」
子どもにどう向き合うかの話でしたが、これはあらゆる対人関係にも当てはまると感じました。
どうでしょうか。
心配を信頼へ変えてみたくなりませんか。
3.親に電話する
3つ目は少しテイストが変わりますが、親に電話をすることです。
この物語は、成功の秘訣である「喜ばれる人になりなさい」を教えてくれるだけでなく、家族の絆を大切にしたくなるものでした。
私たち読者にさまざまな教えを授けてくれた筆者の母ですが、いつまでも元気なわけではありませんでした。またいつでも話ができると思っていると、急に想定外の事態が起こって・・・ということは容易に起こりうると思いました。
いつかは伝えたい想いは伝えられるうちに伝えておこう、それができなくても、今までよりも連絡を取る頻度を少し増やしてみようと思いました。
親の存在は当たり前すぎてありがたみや大切さをついつい忘れがちですが、本書を通してその大切さを改めて心に刻むことができました。
少しだけでもいいので、ぜひ親との交流を増やしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
「喜ばれる人になる」という考え方は、あなたに関わるひとを喜ばせるだけでなく、あなた自身の幸福感を高めてくれる、シンプルでパワフルなアイデアです。
朝起きた直後、夜寝る前に、目を閉じて心を落ち着かせて、「喜ばれる人になりなさい」と3回唱えなさい。これが1年間続けられたら、あなたに幸運の女神が微笑むでしょう。と言ってしまってもいいかも知れない。
「喜ばれる」や「他者貢献」がいいアイデアだと感じていただけた方は、以下の3つの行動を試してみてはいかがでしょうか。(もちろん本を読んでみてください)
- 応援する相手を決める
- 他人の心配をやめる
- 親に電話する
この中でなにか一つをするならば、
1.応援する相手を決める
を勧めたいと思います。
理由は、やることが単純明快かつ、これまでになかった視点をあなたに与えてくれる可能性が高いからです。
私自身も一人応援する事から始めて、気づけば色んな人を応援したくなる気持ちが湧いてくるようになりました。(本当に)
きっかけは一人からですので、ぜひとも今日中に決めていただければと思います。
一緒に喜ばれる人を目指しましょう。
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