こんばんは。
早速ですが、「ピーターの法則」をご存じでしょうか。ピーターの法則とは本のタイトルであり、その本を通して立証される、階層社会のからくりを紐解いた法則です。
この法則は階層社会のからくりをユニークな切り口で解明する趣旨のものです。1章に入る前の前書きで注意があるように(もう戻れませんよ?いいんですね?と入念につづられています)、かなり衝撃的な内容でした。
誰一人としてこの法則からは逃げられない。
- 学生としては有能だったけど教師としては無能
- 技師としては有能だったが、管理者としては無能
- 将軍としては有能だったが、元帥としては無能
- 課長としては有能だったが、部長としては無能
このように。昇進のたびにふるいに掛けられ、最終的に、階層社会に生きるすべての人は無能になるというのです。ここでいう無能とは職責を果たせない人のことです。
じゃあ昇進を断ればいいのか、そう思いました。しかし、これは「ピーターの受け流し」と呼ばれる悪手です。なぜ悪手なのかは、昇進を断ったあなたに周りが向ける目を想像してみたください。
ここまでどうでしょうか。私はなんとも極端な理論だと思いました。
フレッシュな新入社員の私は、入社1か月にして、これから私は無能レベルに達した上司に指導され、無能レベルに向かっていると信じたくありませんでした。
反論したいのですが、私が思いつくような反論は先ほどの「ピーターの受け流し」ように理論が補填されており、納得させられてしまいます。半分以上読み進めても世の中の無能について書かれており、
「じゃあどうしたらいいんや!」と、筆者に詰め寄りたい気持ちになりますよね。会社でも、「あの人は無能レベルなのかな、もう仕事できないんじゃないかな」とか邪推してしまいます。これは本当に良くない。
創造的無能のすすめ
しかし、私は心の奥底では安心していました。
なぜなら、この本には副題があります。正式なタイトルは
ピーターの法則 ~創造的無能のすすめ~
そうです。ピーターの法則は、この階層社会でどう生きれば良いのかまで示してくれていました。
本書に書かれている、ピーターの創造的無能とよばれる最強の処世術は、
最終的に無能レベルに達する昇進の前に、自分がすでに無能レベルに達しているという印象を周りの人々に植え付ける事
です。(本書の中で無能レベルに達した人に現れる症状の解説があるため、その症状を外に示すとよい)
人生の本筋とは関わらない部分で無能ぶりを慎重に演出して、その昇進を遠ざけることが、無能化という大問題に対処するのに有効なようです。
この他にも、法則の論理構成の支えとして、昇進の仕組みや、階層組織内のスーパー有能の末路、コンサルタントが無能を防げるかなど、興味深い内容が記されていました。興味がある方はぜひ手に取ってみてください!
本の内容は以上になります。
簡単に感想
青天の霹靂とはこのことです。これから階層社会で生きていくのにどうしようと本気で思いました。また、同時に考えたこともないことが、論理的に破綻なく記されており、私の価値観が少し磨かれたように感じました。本書のように、とがった考え方に出会ったとき、(特に自分の価値観と合わない)その考え否定してしまうことは簡単です。私自身も納得できない内容もいくつかありました。しかし、そうした場面で重要なのは、「何を言ってるんだ」と考えから距離を置くことでは無く、「そういう考え方もできるんだなあ」と考え、自分の選択肢の一つとしてストックすることだと思います。そうすることで、選択肢は増えていくのです。選択することは、私の人生の中でも重要なテーマの一つなので、どこかで文章にまとめてみたいと思います。
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