はじめに
この本は、ストレスを解消し、気分を軽くするための本である。
その方法として、FACTFULNESSは、思い込みを解消し、事実やデータに基づいて世界を見ることを激しく推奨しています。
人間の本能は、本能的に物事を事実通りに見れるようになっていません。
それは、人間の脳には生きるための「本能」が刻まれているからです。
しかし、その本能は、人間がマンモスを狩り暮らしていた時と殆ど変わりません。
環境が大きく変わった現代において、それらの「本能」がむしろ私達の幸せを遠ざけることもあるのです。
例えば、食べ物が豊富にあるのにも関わらず、高カロリーの食物を好む本能が残っているため、肥満が現代病となっています。
この本は、「本能」に対して、「理性」の本です。
「世界は日々素晴らしくなっている、これはデータが示している。事実に基づけば、私達は希望を持って生きることができる。」
これが筆者の主張です。
10の本能
我々は、「本能」により世界に偏見を持っています。
本書では、10の本能の正体と、それらへの対処法が記されています。
偏見に気づいていない頭でいくら考えても、その答えは偏見に基づいているため真実とはかけ離れてしまします。
・データに基づいて世界を正しく見たい。
・偏見をなくし、客観的に物事を捉えたい。
こうした思いがある方はぜひ続きを読んでみてください。
先に結論というか、目次ですが、我々には以下の10の偏見があるといいます。
- 分断本能
- ネガティブ本能
- 直線本能
- 恐怖本能
- 過大視本能
- パターン化本能
- 宿命本能
- 単純化本能
- 犯人探し本能
- 焦り本能
これらについて、重要なポイントと私の感想を簡潔に述べます。
1.分断本能
世界は分断されているという思い込み
- 最上位や最下位にばかり目が行くが、中間層が大勢いる
- 平均ではなく分布を見よ
最高と最低ばかりに目が行く場合には、4つに分けて考えてみましょう。
2.ネガティブ本能
世界はどんどん悪くなっているという思い込み
- ネガティブなニュースのほうが、我々の耳に入りやすい
- 良い出来事はニュースになりにくい
- 過去は美化される
「今日も無事に飛行機が着陸しました。」なんてことはニュースになりません。メディアにせよ、個人にせよ、悪いことほど相手に伝えます。理由はそれらがドラマチックで刺激的だからです。過去は美化され、現在は悪いニュースであふれるので、今は過去より悪くなっているという思い込みが生まれます。
犯罪件数や、世界のワクチン接種率を見ると、世界は着実に平和に近づいていることが分かります。どんどん良くなる世界に希望を持ってもよいのです。
3.直線本能
世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み
- 物事の変化が直線的に起こると思いがち
いまいちピンと来なかったです。
4.恐怖本能
危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
- 恐怖と危険は違うので、適切にリスクを判断しなくてはならない
- 恐怖により、人を操ろうとする人もいる
- 恐怖によるパニック時にはろくな判断ができない
テロは恐ろしいが、肥満や飲酒による死者の方が圧倒的に多い。そういう意味では、高カロリーな食事や飲酒のほうがテロよりも危険であると言えます。
恐ろしさと危険を、切り分けて考えることで適切にリスクが取れます。
そのために必要なのは、事実・データです。
5.過大視本能
目の前の数字がいちばん重要だという思い込み
- 目の前の数字が最重要だと思いこんでしまう
- 他の数字と比較せよ
- 80−20ルールを使おう。80を占める項目を押さえれば傾向は分かる
仕事をやっていてついつい陥ってしまうのが、目の前の数字に執着すること。ついつい全体が見えなくなります。
物事の80%を占める部分を集中的に見れば全体像が捉えられます。
6.パターン化本能
ひとつの例がすべてに当てはまるという思い込み
- パターン化は間違いを生みやすい
- 分類することにより、思考停止になる
レッテルを貼るなと言う人もいますね。パターンは役に立つことも多いので活用すべきですが、場合によってはパターンに当てはめるべきでない事がある、と頭の片隅においておきましょう。
7.宿命本能
すべてはあらかじめ決まっているという思い込み
- 世界が変わらないように見えるが、変化がゆっくりなだけで起こっている
- 知識をこまめにアップデートせよ
変わっている・変えられる・変われる。希望を持て。
8.単純化本能
世界はひとつの切り口で理解できるという思い込み
- ひとつの視点では物事は理解できない 多角的な視点を身に着けよう
- 知らないことは知らないと認めよう
9.犯人探し本能
誰かを責めれば物事は解決するという思い込み
- 犯人を探すのではなく、原因と対策を考えよ
誰が悪いか考えることで、自分が悪くないと思いたいのが人情です。
10.焦り本能
今すぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み
- 焦りを抑えるには、小さな一歩を意識する
大体のことは、いきなり劇的には変わらないですね。
まとめ
10の本能を紹介しました。
特に重要だと思ったのは、恐怖本能・ネガティブ本能です。
理由は、ありもしない事実により、不安になったり、ネガティブになってしまうことは、正直に言ってもったいないと思ったからです。
逆に、不安を感じたり、ネガティブになったときにはデータに立ち返ろうと思いました。
筆者のメッセージとして、「データに基づき、希望を感じよ」というものが一貫しております。
これらの本能を自分自身の中に感じたら、一度データを頼ってみてください。
データがあなたの気持ちを晴らしてくれるかもしれません。
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