【知識不足】モチベーションの上げ方を知るだけで、やる気スイッチを自分で押せる

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  1. モチベーション
    1. 自分に意識的に注意を向ける
    2. Use it or Lose it
    3. シナプスの数がピークを迎える年齢は
    4. 行動を起こす「思考系」と「感情系」
    5. モチベーションの3つのステップ
    6. モチベーションと周辺環境
  2. 脳の構造を理解しよう 〜モチベーションを高めるには日常の過ごし方が大切〜
    1. 脳の構造から考える
    2. モチベーションの優先順位
    3. 生活リズムを整えよ
      1. 朝日を浴びてセロトニンを合成するメリット
    4. エネルギー効率の話
  3. モチベーションをコントロールしよう 無意識に誘引される「ボトムアップ型」と意識的に誘引される「トップダウン型」のモチベーション
    1. 2種類のモチベーションの優先度は?
    2. 「自制心」により意図したモチベーションを選択する
    3. ドーパミンの機能をやりたいことにシフトさせる
    4. モチベーショントリガーの作り方
      1. お気に入りの名言、アニメや漫画のワンシーンを思い出す
      2. ルーティンを作る
  4. モチベーションを与える、「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」
    1. モチベーションにおける神経伝達物質の役割
    2. βエンドルフィンとコルチゾール
    3. 4パターンのモチベーション状態
      1. 1.惰性モチベーション
      2. 2.嫌避モチベーション
      3. 3.好接モチベーション
      4. 4.学習モチベーション
      5. ドーパミンが先行し、ノルアドレナリンを付加する
    4. 新しいことを学ぶ学習フロー
      1. 嫌避モチベーションでは、ポジティブな体験になるよう意識する
      2. 好接モチベーションから学習モチベーションに向かうには
  5. 次回:心理的安全状態〜

モチベーション

自分に意識的に注意を向ける

意識的に注意を払っていないことについては、記憶としては残りづらいため、深く知ることが難しい。
自分がよく知っていると思うものについては、注意を払いづらいため、理解を深めづらい。

こうした例のひとつに、「自分自身」がある。
自分のことは良く知っている気になるから、改めて自分自身に注意を向けることは行われにくい。
結果として、自分自身のことを深く知れないということが起こる。

まずは、自分のことを客観的に俯瞰的にメタ認知することから始める。
それにより自分自身の考え方を知り、情報を書き込み、自律的な脳が育まれるようになる。

また、感情の一つであるモチベーションも、行動や思考に影響する。自分のパフォーマンスを高め、成長するには、自分の感情や感覚に注意を向けることが重要である。

何らかのアクションを行う際に、自分の感情や感覚に注意を払うことで、アクションが自分に与える影響を認知できる。これにより、自分だけの「やる気スイッチ」を見つけることができる。感情→アクションではなく、アクション→感情を生み出せる。私は集中力を高めたい時に、無心でタイピングを行うようにしている。
自己を俯瞰している時に、前頭前皮質(PFC)のrlPFCという部位が活性化されている。

Use it or Lose it

脳の神経細胞は、シナプスという構造体で結びついている。シナプスは使われればむず日付き、使われなければ失う原則を持っている。それは、シナプスを形成したり、維持するにはエネルギーが必要だからである。

また、強い神経回路が構築されていると、エネルギー効率が良い。つまり、少ないエネルギーで脳の回路を機能させることができる。

シナプスの数がピークを迎える年齢は

2歳でシナプス数のピークを迎え、そこからは不要な部分が減らされていく。

大人になると物覚えが悪くなるのは、このシナプス数が原因である。
大人はシナプスが少なくなったあとから神経細胞同士をつなげていく作業が求められている。
つなげてさらに強固にするため、二重のエネルギーが必要となる。

苦手だからと避けていると、Lose it の原理で苦手が加速する。新しいシナプスを形成するにはエネルギーがいると理解した上で、Use it を繰り返す必要がある。

行動を起こす「思考系」と「感情系」

学生時代を思い返してほしい。試験前に、頭では勉強をすべきだとわかっていても、どうしてもやる気にならず部屋の掃除をしたり、本を読んだりしてしまった経験はないでしょうか。

このことは、行動を起こすためには、「思考」だけでなく「感情」を理解する必要があるという例である。自分のパフォーマンスを高め、成長するためには「モチベーション」などの感情に注意を向ける必要がある。

モチベーションの3つのステップ

行動の原因となる感情を一括にモチベーションと捉えるのは難しい。
モチベーションを3つのステップに分けて整理する。

モチベータ:外的な原因
モチベーションメディエータ:行動を起こす自分自身の状態
モチベーション:モチベーションメディエータを認識した状態

外的な刺激により、脳が反応を起こし、その反応を認識するという3ステップだ。

 

ここで重要なことは、やる気になっている状態と、やる気になっている自分の状態を認識することは別の脳機能が使われているということ

「何にもモチベーションがない」という人がいるが、多くの場合は
モチベーションメディエータを認識できていないことによる。
自分自身に注意を払うことにより、モチベーションメディエータを認識し、
モチベーションを獲得することができる。

他人へモチベーションを抱いてほしい時に注意すべきことがある。当然のことながら、モチベーションのあり方は、人それぞれだということだ。ひとりひとり人生経験が異なり、脳の配線も異なっているため、自分自身がモチベーションを感じる方法が、他人にも当てはまると考えるのは良くない。

他者のモチベーションの多様性を受け入れることが大切だ。

モチベーションと周辺環境

睡眠時間や、椅子の座り心地、体調など、あらゆるものがモチベーションに影響を与える。
普段はモチベーションを感じることに対して、なぜかモチベーションを感じないという場合には、自分の体調や心理状態に目を向けることが有効だ

脳の構造を理解しよう 〜モチベーションを高めるには日常の過ごし方が大切〜

モチベーションとは、脳の高次機能、または学習に関わる行動を直接的に誘引する、体内及び脳内の変化を認識した状態。

これは一体どういうことなのか。以下で解説する。

脳の構造から考える

人間の脳は、脳幹部分から、より表面に近づくほど高次の機能をつかさどる。
おおまかに脳の構造を理解しておくことにより、人間の行動原理を理解しやすくなる。

大脳新皮質:クリエイティビティや収束・発散思考など高次機能系
大脳辺縁系:海馬や扁桃体が関与し、記憶や感情に深く関わる。
間脳:高次の脳機能と脳幹をつなぐ。自律神経系と連絡を取る。ホルモンを合成する。
大脳基底核・中脳:食欲、睡眠、快感など
延髄:呼吸、体温調整、心拍など無意識かつ自動的な生存機能
腹側被蓋野(VTA)はドーパミンを放出する中脳の一部。
上部の大脳辺縁系や大脳新皮質に影響を与える。

脳の下部ほど生物に必須な本能的機能、表面に近いほど思考などの高次な機能を持つ

モチベーションの優先順位

脳の構造を知ることが、モチベーションのコントロールに役立つ。

古くからある脳機能、すなわち脳の下部の構造がモチベーションとして優先されることが多い。

呼吸や体温が乱れている状態、睡眠不足の状態だと、高次の機能である学習やクリエイティビティを発揮することは難しい。脳の下部がつかさどる機能、すなわち生存のために睡眠や休息を取ることが優先されるためである

学習や高次脳処理機能のモチベーションを引き出すためには、脳幹や間脳のつかさどる機能のコンディションを整えておく必要がある。

生活リズムを整えよ

モチベーションの優先順位を踏まえると、モチベーションを発揮するためには普段の生活リズムを整えることが重要だと分かる。健康や睡眠という下位の欲求が満たされなければ、学習やクリエイティビティのモチベーションは発揮されにくいからだ。

朝日を浴びてセロトニンを合成するメリット

  • 夜の睡眠を誘導してくれる
  • 脳に落ち着きを与えてくれる
  • ストレスを緩和??chapter2

朝の太陽を浴び、一定の光量を超えると、脳内に「セロトニン」が分泌される。朝にセロトニンの量が最大になると、その後減少する過程で「メラトニン」という物質が増加する。このメラトニンが睡眠を誘導してくれる素となる。

また、セロトニンが脳内に一定以上ある状態は、脳に落ち着きを与えてくれる。夕方いらいらしてしまう場合は、セロトニンが脳に行き届いていないことが一因になっている可能性がある。

エネルギー効率の話

睡眠や体調を整えるといった、下位の欲求は生まれたときから持っているため強い回路を持っており、エネルギー効率が良い。つまり機能させるのに必要なエネルギーが少ない。

一方、上位の機能を使う回路は、もともと強い回路を持っていないため、機能させるためにはより大きなエネルギーが必要となる。
もともと強くない神経細胞が、くり返し使われて強固になり、記憶痕跡として残っていく。この過程にはエネルギーが必要である。

エネルギーが必要ということは、無意識的には機能しづらいことを意味する。
脳だって楽をしたい。

シナプスにおいてレセプターが変化していくで、少しずつグリア細胞からミエリン鞘という構造体に栄養素が送られ太くなる。神経伝達物質を投げる小胞体の数が増えるような変化。記憶痕跡を細胞として成長させる必要があるため、エネルギーが必要。
普段私達が使用する「モチベーション」という言葉は、睡眠や食事といった下位の機能ではなく、学習やクリエイティビティといった、学習機能系、高次機能系を対象に使われている。
モチベーションには、モチベータ、モチベーションメディエータ、モチベーションという3ステップがあることを踏まえると、モチベーションについて以下のように説明がつく。
モチベーションとは、脳の高次機能、または学習に関わる行動を直接的に誘引する、体内及び脳内の変化を認識した状態。

モチベーションをコントロールしよう 無意識に誘引される「ボトムアップ型」と意識的に誘引される「トップダウン型」のモチベーション

モチベーションには、無意識に誘引される「ボトムアップ型」と意識的に誘引される「トップダウン型」の2種類がある。

ボトムアップ型:空腹や眠いなどの、無意識的なモチベーション
トップダウン型:この問題を考えてみようといった、意識的なモチベーション

2種類のモチベーションの優先度は?

基本的には、ボトムアップ型のモチベーションのほうが強いと考えられる。

脳の上位部分を機能させるためには、下位の欲求を満たすことが重要だということを考えれば納得できる。

「自制心」により意図したモチベーションを選択する

しかし、必ずしもボトムアップ型のモチベーションが優先されるわけではない。「自制心」により、ボトムアップ型のモチベーションを制御しつつ、トップダウン型の情報処理を実行に導くのが可能だ。

こう言うと、ボトムアップ型のモチベーションは押さえつける必要があると思うが、ボトムアップ型のモチベーションを、トップダウン型へと転換させることができる。

お腹が空いている状態では、食べたいというボトムアップのモチベーションが働いているわけだが、この時には、脳内に大量のドーパミンが作られていると考えられる。このドーパミンが出ているといいう状態を活用する。ドーパミンの量はそのまま、ベクトルを変えてあげればよい。

ドーパミンの機能をやりたいことにシフトさせる

ボトムアップ型のモチベーションにより発生したドーパミンの効能を、自分が意図するトップダウン型のモチベーションに活用することは、トレーニングによって可能になる。

  1. ボトムアップなモチベーションが働き、ドーパミンが出ている状態に気づく
  2. ボトムアップ型のモチベーションを、活用したいことに意識的に誘導する

空腹時のほうがより集中力が発揮できる、といった効果が期待できる。

昼休み前にお腹が空いた状態を認識したら、チャンスだと考え、残り10分だけ集中してみるといった具合に、空腹のドーパミンを活用するトレーニングから始めるのが有効なようだ。

モチベーショントリガーの作り方

一般にやる気スイッチと言われる「モチベーショントリガー」を作ることで、意識的にトップダウン型のモチベーションを誘導しやすくなる。
モチベーショントリガーを作るポイントを紹介する。

お気に入りの名言、アニメや漫画のワンシーンを思い出す

自分のお気に入りの名言、本や漫画の一節、ドラマやアニメのシーン、音楽を実際に見聞きしたり、思い描くことでモチベーションを高めることができる。自分が本気で心を動かされ、それらに強い思いを持っているならば、効果がある。

このような自分にとってのモチベータを持っておくと良い。そのためには、自分自身の感情をメタ認知し、自分の感情の動きをよく知っておく必要がある。ここでも自分に注意を向けることが重要になる。

注意すべきは、そうした手法でモチベーションを高めたあとに、漫画やアニメの誘惑に飲み込まれずに、自分の意図した活動にモチベーションを向けることだ。

ルーティンを作る

モチベータと関連付けて身体動作を行う、「ルーティン」を作ることも有効である。ルーティンの動作は、「独創的」「簡単」であることが重要である。

ルーティンとなる独特な動きと、自分のモチベーションを高める言葉などを脳に関連付けて繰り返し学習させることで、ルーティンを行うことが自分のモチベーションを高めるスイッチになる。

ルーティンの作成はそう簡単ではない。
以下のようなステップが必要である。

  1. 自分が高まるようなイメージを発見する
  2. 実際に見聞きしたり、脳内でイメージする
  3. 実際に自己の高揚感を脳で表現する
  4. ルーティン動作を行う。
同時に発火された神経細胞は結びつく。
ルーティンの作成には、「モチベータ」「高揚感」「ルーティン」の同時発生を繰り返すことが必要である。

モチベーションを与える、「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」

モチベーションに影響を与える神経伝達物質に注目する。

神経伝達物質の観点からモチベーションを捉える上で重要なこと

・神経伝達物質そのものがモチベーションを高めるような内部環境の変化をもたらす
・神経伝達物質の放出によってその時の状態を脳に記憶として保存させる
・神経伝達物質によって変化した記憶の状態が、次に神経伝達物質を放出するときの有り様に影響を与える

神経伝達物質と記憶との相互関係の中で、モチベーションの仕組みは成り立っている

モチベーションに関連する神経伝達物質として重要なものは
「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」の2つである。
どちらも行動を誘導するとともに、注意やパフォーマンスにも影響を与える。
ドーパミンは基本的に「SEEK(探し求める)」するための情動という。シグナルや情報に向かわせる時に放出される。
ノルアドレナリンは「Fight or Flight(闘争か逃走か)」に役割を果たす交感神経と連動して放出されることが多い。
脳の中で合成される化学物質を神経伝達物質という。

モチベーションにおける神経伝達物質の役割

行動の誘引には、「意図した方向性」「意図しない方向性」の2通りがある。私達の行動には、やりたいことをやっている時と、やりたくないことをやっている時があるので理解しやすい。

これらの原理が、ドーパミンとノルアドレナリンの放出の仕方で説明される。

ドーパミンは数多くある情報から、意図しない情報を減らすことで認知性を高める。
ノルアドレナリンは意図した情報も、意図しない情報も含めて、あらゆる情報に対して認知性を高めている。

モチベーションを高めて集中したり、パフォーマンスを最大化するには、ドーパミンの作用とノルアドレナリンの作用のどちらも必要になる。

・戦闘態勢的なノルアドレナリンの作用により情報に意識を向けること
・ドーパミンによってワクワク感を獲得し、余計な情報に注意を向かわせないようにすること

ドーパミン
基本的に「SEEK(探し求める)」するための情動という。
シグナルや情報に向かわせる時に放出される。
数多くある情報から、意図しない情報を減らすことで認知性を高める。
ワクワク感を獲得し、余計な情報に注意を向かわせないようにする。
βエンドルフィンという快楽物質を誘発する。
挑戦に向かうトライの情動とも言われ、困難なタスクへの挑戦を促す
ノルアドレナリン
「Fight or Flight(闘争か逃走か)」に役割を果たす交感神経と連動して放出されることが多い。
意図した情報も、意図しない情報も含めて、あらゆる情報に対して認知性を高めている。戦闘態勢的なノルアドレナリンの作用により情報に意識を向ける。
コルチゾールというストレスホルモンを導きやすい。

βエンドルフィンとコルチゾール

ドーパミンが発露すると、βエンドルフィンという快楽物質を誘発する。
ノルアドレナリンはコルチゾールというストレスホルモンを導きやすい。

なにか行動を誘発する要因が出た時は、
・「もっとしたい」という快楽を生むβエンドルフィン系
・「もうやめたい」というストレスを感じるコルチゾール系
の2つが拮抗的に働き始める。

このバランスが行動が長続きするかを分ける。

ドーパミンとノルアドレナリンの関係を知ることで、人間の行動やモチベーションへ理解を深めることができる。

 

4パターンのモチベーション状態

ドーパミンとノルアドレナリンの量により、4パターンのモチベーション状態が考えられる。

  1. 惰性モチベーション(ノルアドレナリン:少 , ドーパミン:少)
  2. 嫌避モチベーション(ノルアドレナリン:多 , ドーパミン:少)
  3. 好接モチベーション(ノルアドレナリン:少 , ドーパミン:多)
  4. 学習モチベーション(ノルアドレナリン:多 , ドーパミン:多)

1.惰性モチベーション

ノルアドレナリンが少なく、ドーパミンもあまり出ていない、いわゆる「無気力状態」に近い状態。
大して求めてもいないし、大してストレスも感じていない状態である。

記憶ドリブンによりパターン行動を繰り返す際には、このような状態である可能性が高い。
新しい挑戦や学びをしない行動パターンだと言える。

2.嫌避モチベーション

ノルアドレナリンが多く、ドーパミンが少ない状態。大して望んでいないことに対するモチベーション。

ドーパミンが出ていないため、ノイズに対する注意が向きやすく、集中しにくい状態である。
学習や仕事のモチベーションとしては効率的ではない上に、ノルアドレナリンが優位であるため「闘争か逃走か」の状態であり、コルチゾールが分泌されストレスがたまりやすい。

過度にコルチ〜ルガ分泌され、扁桃体が過活性化すると、前頭前皮質の活動が弱められ、自分が思い描いたこととは異なることをやってしまう脳の状態に近づいてしまう。

嫌避モチベーションの行動は、ストレスが貯まり、回避したくなるため、継続が困難である。継続するとすれば、強制的に第三者から行動させられているパターンである。多大なストレスをかけて思考停止させている。嫌避モチベーションの行動を過剰に繰り返されると、うつ病などのストレス疾患を誘引する可能性が高まる。

3.好接モチベーション

ドーパミン量が多く、ノルアドレナリンの量が少ない状態。

望んで刺激や情報に向かう状態で、新しい学びや情報に向けて行動する。過去の体験から大きな快を得ていることから、強く求める行動を取る際にこの状態になりやすい。

ドーパミンにより、ノイズに対して注意が向きにくくなっているが、ノルアドレナリンによる注意の強化はないため、ドーパミンとノルアドレナリンのどちらも分泌されている「学習モチベーション」に比べると認知的なパフォーマンスは劣る。
「やりたいことをやっているはずなのに集中しきれない」状態だ。

初期の学びや、無知な状態に起きやすく、「なんとかなる」とドーパミンを誘導し行動を導く。

わたしたちには、学びが少ないほど、実際よりも自分ができたと見積もる傾向がある。
一見不要な傾向のように思われるが、この傾向のおかげで新しい学びに積極的にトライすることができる。

ドーパミンは行動を開始する情動としても知られており、一旦行動を誘引し、刺激やシグナルを手に入れると、ドーパミンは出にくくなる。一度目にとても美味しいと思って食べたものが、二度目はそこまでではないと感じた経験はないだろうか。これはドーパミンの発生量、つまりはβエンドルフィンによる快の大きさが起因している。

ドーパミンにより情報や学びを得ると、それに伴う快感の発露としてβエンドルフィンが合成される。心地よさを脳に表現し、情動反応記憶として定着させ、次にその情報や近似したものが現れた他お気、反応速度を高めるように作用する。

新しい学びを得る時、それが困難であるほどポジティブな結果を得る可能性は少なくなる。その結果、うまくパフォーマンスが発揮できない、脳にとってストレスフルな状態になる可能性が高くなる。そうすると、パフォーマンスを高めるために、ノルアドレナリンを誘引する。それでもうまく行かないと、コルチゾールを誘引する可能性がある。

新しい学びに向かえば向かうほど、理想と現実の乖離が明らかになり、ストレスが増大し、ネガティブな情動反応が引き起こされる。こうなると、新しい学びにが継続できず、諦めてしまい三日坊主となってしまう。そして、最初は望んていたことでも、やらされる感の強い「嫌避モチベーション」になってしまうことが多い。

好接モチベーションは新たな挑戦の初期に状態であり、そこからは「嫌避モチベーション」か「学習モチベーション」へ移行する。

4.学習モチベーション

ノルアドレナリンとドーパミンが適度に出ている状態。この2つの神経伝達物質が出た状態での行動は、高い集中力や継続性が得られる。そのため、強い記憶を育み、あらゆる学びに最高なのうのう状態である。

「好接モチベーション」の状態に、ノルアドレナリンの効果が加えられた状態が、学びや成長を促してくれる。

大人の学びはエネルギーが必要であり、ストレスがかかるが、ストレスの素になるノルアドレナリン反応は、対象への認知性を高める効果がある。一概にストレスになるからノルアドレナリンは不要だと考えてはいけない。

ドーパミンが先行し、ノルアドレナリンを付加する

ドーパミンは、SEEKの情動をつかさどるように、行動や情報獲得の前に放出される。そして、その行動や情報接したあとに行動する時にノルアドレナリンが合成される。
行動前に十分なドーパミンが発生していれば、ストレス状態を落ち着かせる、ホメオスタシス(恒常性)の役割を担う。
また、補助的には、セロトニンの導入や、副交感神経へ切り替えをすることで、学習モチベーションを維持しやすくなる。

  1. 行動を開始する前に十分なドーパミンが放出される
  2. より困難なことに向かいやすく、集中しやすくなる
  3. 快の情報が得られれば、ドーパミン量に応じて、βエンドルフィンが誘発される
  4. βエンドルフィンが、ノルアドレナリン分泌に伴うストレス状態を緩和する

新しいことを学ぶ学習フロー

これら4つの状態をもとに、わたしたちが新しいことを学ぶフローの例を考えてみよう。

  1. ドーパミンによる「好接モチベーション」
  2. うまく行かないことにぶつかり行動をやめてしまう
  3. 知らず知らず「嫌避モチベーション」(または諦めて「惰性モチベーション」になる)
  4. 学びの魅力を知り「好接モチベーション」を誘発し、学習モチベーションに至る

これは、最終的に学習モチベーションに達する良い例である。
実際には、「嫌避モチベーション」から「学習モチベーション」への変化をもたらし、維持するのは容易ではない。

嫌避モチベーションでは、ポジティブな体験になるよう意識する

「嫌避モチベーション」から、「好接モチベーション」へ向かうための思考法を紹介する。

新しい学びでは、当然ながらできないことのほうが多いため、ネガティブな方向に注意が向いてしまう。学習モチベーションを維持するためには、ネガティブなことばかりではなく、自分のできたことや成長に目を向けることが重要である。

好接モチベーションから学習モチベーションに向かうには

次は、「好接モチベーション」から「学習モチベーション」へ向かうケースを考える。

ドーパミンドリブンで行動している状態から、「ノルアドレナリン」を大量に分泌させる必要があるため、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されやすい。

コルチゾールがでると失敗しやすくなるため、「失敗」をどのように認知するかが重要となる。

学習モチベーションに導くためには、認知的な柔軟性が必要である。
例えば以下のような思考回路を身につけると、成長を導きやすくなる。

  1. 失敗を認識できているということは、成長のポテンシャルに注意が向けられている
  2. 失敗の原因を素直に認識し、成長の糧と捉える
  3. ネガティブな情動反応をポジティブな感情に書き換える

コルチゾールを出しすぎてストレスに負けるか、認知の柔軟性により、コルチゾールをうまく対処するかが大きな分かれ目である。

次回:心理的安全状態〜

 

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