チーム・バチスタの栄光というタイトルを一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。小説だけにとどまらず、ドラマや映画で話題となった医療現場での事件を解き明かす人気ミステリー作品です。
先日、こちらの原作を読破したので、感想文という形で投稿させていただきます。
白鳥・田口 その他の魅力的なキャラクター
本作品には、サブキャラも含めて個性豊かな人物が登場し、それぞれが多いに作品に魅力を与えてくれています。その中でも注目すべきはやはり、「ロジカル・モンスター」と称される厚生労働省の役人、白鳥。そして、白鳥の苦手分野を補完する、病院の権力闘争から足を引いた、万年講師の田口。彼ら魅力的なキャラクターのコンビネーションに注目していきたいと思います。
病院で起こった術中死の原因究明のため内部に調査を依頼された田口と、厚労省から招聘された白鳥。田口の「パッシブ・フェーズ」による聞き込みをもとに、白鳥は持ち前の論理的思考、さらには「アクティヴ・フェーズ」と呼ばれる破天荒な会話術を用いて謎を解き明かしてゆきます。
アクティヴ・フェーズ、パッシブ・フェーズ
「なんで、こんなにどんくさいかなあ。どうも買いかぶりすぎていたみたいだ。いい、よく聞いてね。あんたは対象を自分の眉の中に取り込んでそこでゲロさせる。これがパッシヴ・フェーズ。僕は相手の心臓を鷲掴みにして、生んでいる病巣にメスを突き立てる。これがアクティブ・フェーズ、わかった?」
これは初対面の田口に対して、アクティヴ・フェーズとパッシヴ・フェーズを説明していた白鳥が痺れを切らしていった言葉である。これが一番わかりやすい。しかし、初対面の相手に対しても遠慮を知らないアクティヴ・フェーズの使い手白鳥らしい一言。
しかし、白鳥はパッシヴ・フェーズを苦手としており、パッシヴフェーズに関しては相当高レベルな調査資料を残した田口を高く評価しています。
お互いの長所を活かし、短所埋め合うコンビネーションは見てて爽快です。
立場や年齢を問わずに、ずかずかと相手の懐に踏み込む白鳥。そこまで言うのか(笑)と思うくらいの勢いですが、さすがはロジカルモンスター、何とも言えない説得力が伴っており納得させられてしまいます。「普通言えないこと」を明確な目的意識、論理的根拠を持って堂々と言う白鳥の魅力に次第に引き込まれていきます。
- パッシヴ・フェーズとアクティヴ・フェーズ、で相手の印象が異なった場合、アクティヴ・フェーズで得られた印象の方が素顔に近い。
- 過去を見とるパッシヴ・フェーズ、未来をつくるアクティヴ・フェーズ
のように、それぞれの使い方を教えてくれているのもありがたい。
私自身も相手の懐に踏み込むような言葉をよく使うのですが、白鳥さんのようなスマートさには欠けています。だからと言って使わないのはもったいない。何とかしてうまくアクティヴ・フェーズを使いたい。そんな私の気持ちにこたえるかのように、白鳥は作中で田口に対し、「アクティヴ・フェーズの極意」を説きます。最後にそちらをまとめて終わりにしたいと思います。
アクティブ・フェーズの極意
その1 「怒るか、怒らないか、ぎりぎりのところで持ちこたえる」
その2 「ガツンとやる前に、隠れる物陰を確保しておくこと」
その3 「用件が終了したら長居は禁物」
その4 「複数同時聴取で反射情報をからめ取れ」
その5 「身体を張って情報ゲット」
その7 「反射消去法」
その8 「弱点を徹底的に攻めろ」
その9 「最後に信じられるのは自分だけ」
最終極意「すべての事象をありのままに見つめること」
ぜひみなさんも使ってみましょう!
ちなみに作中で白鳥さんはかなりの嫌われ者として描かれています。これを完璧に使いこなせたとき、あなたの周りから友人が消えていても自己責任でお願いします。
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